新型コロナワクチン、接種が進めば進むほど直面する課題

もっと広い視野で考えた方がよさそうな気がします。

産経新聞(2021/3/16)
国産ワクチン年内供給困難に 塩野義、大規模治験難しく

塩野義製薬が開発を進める新型コロナウイルスワクチンの年内供給が、困難な見通しであることが16日、分かった。先行するワクチンの実用化が進み、偽薬を用いた数万人規模の最終段階の治験(臨床試験)を年内に実施することが難しい状況となっているため。同社では、ワクチンの安定供給と、日本特有の変異株出現に備えるため、安全性を担保した上で使用を認める緊急使用許可の仕組みの必要性を訴えている。

塩野義が開発を進める新型コロナウイルス予防ワクチンは現在、治験の第1、2段階にあたる第1/2相試験を国内で実施している。同時に、最終段階の治験となる、偽薬を用いた、世界の流行地域の数万人を対象にした治験に向けて準備を進めており、その予算は数百億円規模を見込む。

ところが、世界では米ファイザー製や英アストラゼネカ製など実用化したワクチンの接種が広まっていることから、未承認のワクチンの治験参加者の確保が難しくなり、年内に大規模な治験を実施できる国が少なくなっている。

日本国内で使う国産のワクチンは、本来なら治験も全て国内で行うのが望ましいと思いますが、国内では感染率が低く有効性の確認が十分できないので、大規模治験は海外で行おうとしています。

ところが、世界でワクチンの接種が広まってきているため、大規模治験の参加者が確保できないという状況になっているようです。

日刊スポーツ(2021/4/12)
国産ワクチンの現状 国内感染者少なく治験進まず世界から周回遅れ

日本は5社が開発中ですが、治験(臨床試験)の第1相、第2相段階。昨年6月、治験を開始し、最も先行しているアンジェスは特例承認を受けて今春の実用化を目指していましたが、審査を行う医薬品医療機器総合機構(PMDA=パンダ)から大規模な第3相試験を求められ、足踏みしています。

ファイザーは世界6カ国で4万人規模の治験を行いました。海外に比べ感染者が少ない日本(人口10万人当たりの感染者は米国9298人、日本385人=約24分の1)では数万人の参加者を集めて、ワクチンと偽薬を接種しても発症者数、重症者数の差などワクチンの効果は確かめにくく、数十万人の参加者が必要になるとされます。PMDAは「海外での治験も選択肢のひとつ」としていますが、すでに有効なワクチンがある中、未承認のワクチンと偽薬を投与すること自体、是非が問われます。

世界中でワクチンの接種が進めば進むほど、後発のワクチン開発が困難になるという、典型的な先行者優位な状態だと思います。

でもこのままだと、先行しているメーカーも、変異株の対応などで同様な困難に直面するのではないでしょうか。

ワクチンの安全性と有効性の確認は絶対必要だと思いますが、少しやり方を考える必要がありそうな気がします。

 
これは昨年の記事ですが、

Bloomberg(2020/5/29)
コロナワクチン治験、意図的な被験者感染が必要となる可能性も

一部の地域で感染の広がりがさらに収まってくれば、ウイルスにさらされる人の数が臨床試験の実施に十分でなくなる可能性があると、英アストラゼネカのパスカル・ソリオ最高経営責任者(CEO)が28日の会見で語った。まだ時期尚早だが、健康なボラティアを意図的にウイルスに感染させることを検討する必要が出てくるかもしれないとも述べた。

その後、イギリスで実際に行われています。

NHK NEWS WEB (2021/2/18)
イギリス 健康な人に“人為的に感染” 新型コロナ研究を承認

健康な人に人為的に新型コロナウイルスを感染させて開発中のワクチンの有効性などを調べる「ヒューマン・チャレンジ」と呼ばれる研究について、イギリスの倫理委員会が実施を承認し、近く研究が始まることになりました。

研究は第1段階で、18歳から30歳までの健康な人、最大90人を安全な場所に隔離した状態で人為的に新型コロナウイルスに感染させ、どれくらいの量のウイルスで感染するのかや、免疫システムがウイルスにどのように反応するかなどを調べます。

この第1段階の試験は無事完了したようです。

Imperial College London (2021/3/25)
First volunteers on COVID-19 human challenge study leave quarantine

Participants were inoculated with a low dose of SARS-CoV-2, introduced via droplets in the nose, and carefully monitored by clinical staff in a controlled environment over a two-week period.
The team reports no complications, confirming the participants are in good health and have been discharged from the facility after meeting the quarantine discharge criteria.
(Google翻訳)
参加者は低用量のSARS-CoV-2を接種され、鼻の飛沫を介して導入され、2週間にわたって管理された環境で臨床スタッフによって注意深く監視されました。
チームは合併症を報告せず、参加者が健康であり、検疫退院基準を満たした後に施設から退院したことを確認しました。

この試験は賛否両論あるようですが、安全性を十分担保する方法が確立できれば、ワクチンの有効性や安全性を確認する重要な手段になるかもしれません。

いずれにせよ、国民のほとんどがワクチンを接種してしまったら、国内でのワクチン開発は益々困難な方向になると思います。

政府はとにかくワクチンの接種人口を増やすことばかりに注力しているようですが、本当にそれでいいのでしょうか?

(上の日刊スポーツの記事)
菅義偉首相は国会で「国内での開発、生産体制の確立は極めて重要な危機管理」と度々答弁しています。

ということであれば、ワクチンの開発も含めた広い視野で、接種の計画を立てる必要がありそうな気がします。

重症化率が低く、ワクチンのリスクとメリットが微妙な若者は接種の対象から外すとか。

ワクチンばかりに頼るのではなく、治療薬の開発も重要だと思います。

 
ちなみに、献血はどうするのでしょう?

日本赤十字社
新型コロナウイルスのワクチン接種に関する献血の受入れについて

新型コロナウイルスのワクチンを接種された方の献血の受入基準につきましては、国において検討中の段階であることから、基準が示されるまでの間、献血はご遠慮いただくこととしておりますので、ご理解を賜りますようお願いいたします。

これも、ワクチンの接種が進めば進むほど、人が少なくなる可能性があります。