東京五輪のせいで適切な医療を受けられずに死亡した場合は誰の責任か?

今の日本に東京五輪をやる余裕はあるのでしょうか?

読売新聞(2021/4/26)
五輪会場に従事、看護師500人の派遣を要請…組織委

東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の武藤敏郎事務総長は26日、東京都内で開かれた理事会後に記者会見し、組織委が日本看護協会に対し、競技会場などで従事する看護師500人の派遣を要請したことを明らかにした。

TBS NEWS (2021/4/27)
東京五輪・選手などの入院先に指定病院約30か所確保へ

東京オリンピック・パラリンピックの新型コロナ対応などを踏まえ、大会組織委員会がアスリートなどを受け入れる大会の指定病院を30か所程度確保する方向で調整を進めていることが分かりました。

東京五輪まであと3ヶ月もありませんが、医療機関にそんな余裕はあるのでしょうか?

ちょうど東京五輪の最中に感染者が急増するという予測もあります。


NHK NEWS WEB(2021/4/27) 秋に第5波到来も!? 新型コロナ最新予測

小池都知事は、
「全国的に感染力が強い変異株の猛威がみられ、コロナとのたたかいも新たな局面を迎えたという認識が必要だ」
と発言されたようです。

ワクチンの接種も本格的に行われている頃だと思います。

 
素朴な疑問ですが、政府などからの強力な圧力に屈して東京五輪に医療従事者を派遣した結果、適切な医療が提供できなくなって患者が死亡したら、誰の責任になるのでしょうか?

今のコロナの状況を考えると、医療従事者を東京五輪に派遣したら医療がひっ迫する可能性があることは「予見可能」と思われます。

(参考)予見可能性
危険な事態や被害が発生する可能性があることを事前に認識できたかどうか、ということ。重大な結果を予見できたにもかかわらず、危険を回避するための対応・配慮を怠った場合、過失を問われることがある。(出典:デジタル大辞泉)

医療法 にこのような条文があります。

第一条の三
国及び地方公共団体は、前条に規定する理念に基づき、国民に対し良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制が確保されるよう努めなければならない。

第三十条の十九
病院又は診療所の管理者は、当該病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善その他の医療従事者の確保に資する措置を講ずるよう努めなければならない。

第三十条の二十一
都道府県は、医療従事者の勤務環境の改善を促進するため、次に掲げる事務を実施するよう努めるものとする。
一 病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善に関する相談に応じ、必要な情報の提供、助言その他の援助を行うこと。
二 病院又は診療所に勤務する医療従事者の勤務環境の改善に関する調査及び啓発活動を行うこと。
三 前二号に掲げるもののほか、医療従事者の勤務環境の改善のために必要な支援を行うこと。

直接的には医療従事者を派遣した医療機関の責任かもしれませんが、国や都道府県から要請があった場合は、国や都道府県の責任もありそうです。

特に、医療がひっ迫することが十分想定されるにもかかわらず、派遣を要請した場合は、その要請自体が医療法違反かもしれません。

今の日本で、東京五輪に医療従事者を派遣できる都道府県があるとしたら、その都道府県は医療がひっ迫する心配が全くないところだと思いますが、はたしてあるのでしょうか?

少なくとも、東京都は無理だと思いますが。