分譲マンションの不都合な真実

最近マスコミでもよく取り上げられるようになってきました。

分譲マンションの老朽化と住人の高齢化、そして空室の増加です。




TV朝日 モーニングショー(2023/10/24)

 
気付いたら住人がいないとか、住人が死亡して遺品部屋になっているケースも増えているようです。

NHK NEWS WEB (2023/6/9)
「住人が消えた」マンションの“所有者不明部屋”生活にも影響

人知れず、マンションの部屋の住人がいなくなる。
今、そんなケースが相次いでいることがわかってきました。

マンションの財政に直結する、「所有者不明部屋」の問題。
2018年の国の調査によると、マンションの部屋の所有者の所在が分からなかったり、連絡が取れなかったりする部屋は、築年数の古い建物ほど多くなる傾向があります。
1979年以前に建てられたマンションでは13%余りに達しています。



NHK クローズアップ現代(2023/10/25)

マンションの所有者が死亡して、相続人がいなかったり相続放棄されると、遺産処理の問題だけでなく、管理費や修繕積立金が入ってこない状態になります。

管理や修繕が計画通りにできなくなるマンションが今後増えてくることが予想されます。

 
政府は分譲マンションの修繕や建て替えの要件を緩和しようとしています。

日本経済新聞(2023/6/8)
マンション修繕決議「出席者過半数」で 法制審が緩和案

法制審議会(法相の諮問機関)は8日、分譲マンションの修繕などを住人が決議する際の要件を緩和する中間試案をまとめた。住人集会の決議を出席者の過半数の賛成で成立できるようにする案を盛った。老朽マンションの増加を見据え、地域の安全や景観に配慮した街づくりを促す。

読売新聞(2023/11/12)
老朽マンション建て替え、耐震性問題なら同意「4分の3」以上で可能に…再生推進へ緩和案


 
現行法では、建て替えには所有者の「5分の4」以上、取り壊しには「全員」の同意が必要だ。
要綱案では、建て替えや取り壊しに必要な割合をいずれも「5分の4」以上とする。
耐震性や耐火性に問題があれば、「4分の3」以上の同意で可能とする方向で調整している。

建物の老朽化が進む中、所有者の合意形成が進まず、管理不全に陥る状況も懸念されていた。このため、修繕などの比較的軽微な案件では、決議のための会合に出席しない人を決議の分母から外す仕組みを設ける。
所在が分からない所有者に関しては、裁判所の認定を受けて決議の分母から除外するようにする。

要件緩和によって決議はしやすくなるかもしれませんが、結局、費用の問題が残ると思います。
修繕工事の費用が足りない場合はどうするのか。
一時金の徴収が必要になった場合、反対している人や連絡がつかない人から徴収できるのか?

特に、建て替えや取り壊しの場合は、かなり揉める場合もありそうです。
反対している居住者がいても、取り壊しが可能になるということは、最終的には強制執行で立ち退きを断行するのでしょうか?

立地の良い老朽化マンションは、不動産業者が虎視眈々と狙っている可能性もあります。
管理組合と地上げ屋が一緒になって、反対住人に立ち退きを要求するかもしれません。

立地の良くない老朽化マンションは、費用の問題が解決できずに、朽ちる一方になるかもしれません。

いずれにせよ、分譲マンションは老朽化すると様々な問題が顕在化してくることになりそうです・・