マイナンバーカードで他人の住民票を誤発行

本当に重く受け止めているのでしょうか?

朝日新聞(2023/3/31)
マイナカードで他人の住民票を誤発行、総務相「重く受け止めている」

マイナンバーカードを使ったコンビニでの証明書交付サービスで別人の住民票が誤発行されたトラブルについて、松本剛明総務相は31日の閣議後会見で「今回の事案はマイナンバーカード自体に起因したものではないと聞いているが、別人の証明書が交付される事案が発生したことは重く受け止めている」と語った。

別人の住民票が誤って発行されたトラブルは横浜市で27日に発生。計4人が5枚の別人の住民票を受け取った。同市やシステムを提供する富士通Japanによると、交付の申請が同じ時間帯に集中してシステムに負荷がかかったことが原因だったという。

松本氏は31日の会見で、「再発防止に必要なシステム上の対応を行って、サービスが再開されたと聞いている。関係者からよく原因について確認したいと考えている」と述べた。

とにかく「マイナンバーカード自体には問題がない」と言いたいようですが、そんな意識では、いつまでたっても国民のマイナカードに対する不信感は払拭できないでしょう。
カードに問題がなければ、そのカードを使うシステムはどうでもいいのでしょうか?

それに、このコメント、
「再発防止に必要なシステム上の対応を行って、サービスが再開されたと聞いている。関係者からよく原因について確認したいと考えている」
とても重く受け止めているとは思えないコメントです。

この大臣も同じような事を言っています。

CNET Japan (2023/3/31)
河野大臣「マイナカードの信頼性に影響しない」--他人の住民票が発行された横浜の事案を説明

デジタル大臣を務める河野太郎氏は3月31日、横浜市のコンビニエンスストアのマイナンバーカードを利用する証明書交付サービスで、他人の住民票が発行される事案が5件(11人分)発生した件について「マイナンバーカードの信頼性に影響しない」と述べた。

「他人の住民票が出てきたということで、マイナンバーカードやマイナンバーカードを使った情報連携に問題があると受け取られる方が大勢いらっしゃると思うが、この問題は横浜市の証明書発行サービスのアプリケーションの問題であり、マイナンバーカードそのものや情報連携の仕組みの問題ではない」(河野氏)

相変わらず、この大臣の発言はあまり正確ではないようです。
今回不具合が起きた富士通のサービスを使っているのは、横浜市だけではないようです。

日経XTECH(2023/3/29)
別人の住民票が誤って発行されるバグ、富士通Japanのコンビニ交付サービスで

このトラブルにより、富士通Japanのサービスを利用する足立区や世田谷区、宮崎市など他の自治体もコンビニでの証明書交付サービスを一時停止する事態となった。富士通Japan広報によると、横浜市以外で別人の証明書が発行される事象は確認できていないという。

 
今回の不具合の原因に関しては、日経XTECHがこのように報じています。

日経XTECH(2023/3/30)
コンビニ交付で別人の住民票が発行されるバグ、富士通Japanが原因を説明

富士通Japanは2023年3月30日、3月27日に横浜市で発生した、コンビニの証明書交付サービスで別人の住民票が発行されるトラブルについて原因を明らかにした。システムへのアクセス集中により印刷処理の待ちが生じた結果、印刷イメージファイルのロックが解除され、同時期に交付を申請した別の利用者が当該ファイルを印刷できてしまったという。

具体的にはコンビニで証明書交付を申請すると、富士通Japanが手掛けるコンビニ証明書交付サービス「Fujitsu MICJET コンビニ交付」上で、住民票などの印刷イメージファイルが生成される。当該ファイルは申請者しか印刷できないようロックがかかるが、システムにはタイムアウトの上限が設定されていたため、アクセス集中で処理が遅れた際にタイムアウトとなってロックが解除された。同時期に申請した別の利用者が当該ファイルをつかめる状態にあったため、別人の住民票が印刷されるトラブルにつながったという。別の利用者がファイルをつかめてしまう仕様の詳細などについては回答を控えた。

富士通Japanはタイムアウトでロックが解除されないようプログラムを改修。現在、同様の事象は発生していないという。

ある程度のソフト開発の経験者なら何となく分かる不具合だと思います。
タイムアウトしてはいけない場合に、タイムアウトしてしまっていた。
という、よくありそうなバグですが、富士通はちゃんとソフトの設計と検証ができているのか、少し心配になります。

日経XTECH(2023/3/29)
別人の住民票が誤って発行されるバグ、富士通Japanのコンビニ交付サービスで

富士通Japanは2017年1月から同サービスを提供しているが、「今回初めて不具合が表面化した」(広報)。「リリース前にテストは実施していたものの、今回のような高い負荷を想定したテストが十分でなかったのが原因と考えている」(同)とした。

今まではコンビニの証明書交付サービスがほとんど使われていなかったので、不具合が顕在化しなかったようです。

そんな、ある意味初歩的な「設計ミス」が何年も放置されているようでは、またどこかで似たような不具合が起きても不思議ではないと思います。

KDDIの通信障害の時は行政指導、みずほ銀行のシステム障害の時は行政処分が行われましたが、今回は何もしないのでしょうか?

KDDI株式会社及び沖縄セルラー電話株式会社に対する電気通信事故に関する適切な対応についての指導
みずほ銀行及びみずほフィナンシャルグループに対する行政処分について

影響を受けた人数の大小の問題ではないと思います。
政府が本気でマイナカードに対する不信感を払拭したいなら、厳しく対応すべきでしょう。

まあ、ベンダーとズブズブの関係だったら、厳しいことはできないかもしれませんが・・