政府の総点検ではマイナ問題は解決しない

産経の世論調査でも8割以上だそうです。

産経新聞(2023/8/21)
内閣支持率41・5%横ばい マイナ問題「解決せず」83% 処理水放出「賛成」55%

政府がマイナンバー情報の総点検後、ミスの修正や再発防止を行う方針を示したが、これで解決すると思うかと聞いたところ、83・5%が「解決しない」と答えた。

 
今、政府が自治体や関係機関にやらせている「総点検」は、マイナンバーと基本4情報(氏名、生年月日、性別、住所)の紐付けに関する点検です。



マイナンバー情報総点検本部(第2回)

したがって、このような問題は解決しないと思われます。

朝日新聞(2023/8/20)
マイナ保険証で窓口負担異なるトラブル続出 規模不明、厚労省調査へ


 
マイナンバーカードと健康保険証を一体化した「マイナ保険証」で、患者が医療機関の窓口で使う際、本来とは違う患者負担が表示されるトラブルが続出している。
厚生労働省が調査する方針だが、現状ではミス全体の規模は把握できていない。

窓口負担が違うミスは千葉市で6月に見つかった。その後、各地でも判明。全国保険医団体連合会が医療機関に聞き取り調査(7月14日~8月1日)をしたところ、21都府県の計370機関からトラブルが報告された。

これは保険者が情報の入力を間違えたのか、それ以外の原因なのか、分かりませんが、マイナンバーの紐付けとは関係なさそうです。
この手のトラブルは、総点検が終わった後もボロボロ出てくる可能性があります。

 
また、マイナンバーとの紐付けすら行われていない被保険者が数10万人いることが発覚しましたが、これは「総点検」以前の問題です。

テレ朝news(2023/8/15)
“ひも付けなし”40万人以上か…ポイント付与されても『マイナ保険証』使えず

健保組合は、Aさんの名前や住所などの情報をもとにマイナンバーを照会しましたが“完全に一致”する人物のマイナンバーを取得できなかったとしています。Aさんの情報は長年、ひも付くことなく“宙に浮いた状態”だったことが今回分かりました。

国内最大の健康保険事業者『協会けんぽ』に聞くと、このようなケースは実はまれではないといいます。99%のひも付けは終わっていますが、残り1%が大きな壁だといいます。
全国健康保険協会:「加入者のうち40万人はひも付けできていない」

名前や住所などの情報をもとにマイナンバーを照会しても一致する人物がいない。

ということは、健保組合の情報とJ-LIS(地方公共団体情報システム機構)の情報が合っていないということだと思います。

引越ししても保険(職場)の手続きをやっていないとか、いろいろありそうですが、気になったのは、名前と住所の漢字です。

漢字という文字は、デジタル化する上で結構やっかいです。


文字情報基盤

スマホやPCで簡単に入力できない漢字や、間違えて選択してしまいそうな漢字もあります。

実際の行政でも、市区町村や職員によって異なる文字が使われている場合があるようです。


地方公共団体情報システムにおける文字要件の運用に関する検討会(第3回)

一見似たような文字でも、文字コードが異なれば、コンピューター上では別の文字です。
検索しても出てこないでしょう。

オンライン資格確認システムでは、Unicode(ISO/IEC 10646:2017)を使用しているそうです。


オンライン資格確認等システムに関する運用等に係る検討結果について

ISO/IEC10646は、JIS X 0213と一応対応しているようですが(100%かどうかは分かりません)、それ以外の「住民基本台帳ネットワークシステム統一文字」や「戸籍統一文字」は、オンライン資格確認システムには何が登録されているのでしょう?

オンライン資格確認で、名前が一部●(黒丸)で表示されたという報道がありましたが、保険者が中間サーバーに外字を登録すると、そうなるようです。

 
政府は総点検で「基本4情報でマイナンバーを照会しているか」という確認をしていますが、それ以前に、名前と住所の文字と文字コードが照会できる状態になっているかの確認が必要ではないでしょうか。

まずは、土台をしっかり作るところから、やり直す必要がありそうな気がします・・