「透明マスク」は飛沫を防ぐ効果はあるのか?

最近時々見かけるようになりましたが、透明なマスク(マウスシールド)は、飛沫を防ぐ効果はどの程度あるのでしょう?


マスクリア
 

新日本空調株式会社 は、保有している「微粒子可視化システム」を用いて、マウスシールドの効果を検証したそうです。


現場作業でのマスク着用による熱中症リスク回避に向けて

通常の会話時のようですが、この画像を見る限り、マウスシールド着用時は飛沫の拡散が劇的に減っています。


 
若干の飛散はあるようですが、何もしないよりは、かなり効果があるようです。

この結果を元に、施工現場でのマスクとマウスシールドの着用の目安を次のように定めたそうです。


現場作業でのマスク着用による熱中症リスク回避に向けて

屋内で2m以上確保できる場合と、屋外で2m確保できない場合にマウスシールドが推奨されています。

そもそもこの検証は熱中症対策のためなので、屋外で2m確保できない時はマウスシールドを使いましょうと言いたいのだと思います。
飛沫の飛散を劇的に減らすことができて熱中症も回避できるなら、妥当な目安かもしれません。

とは言え、やっぱり気になるのは、シールドと口の間の隙間です。
上の検証は、通常の会話を、おそらく無風の部屋で移動もしない状態で行った場合だと思います。
現実の環境とは結構違うのではないでしょうか。

通常の会話でも口からそれなりの量の飛沫が出るということは、シールドと口の間の空間には高濃度の飛沫が存在することになります。
そして、その飛沫の何割かはシールドや顔などに付着して、残りは横の隙間から外部に拡散するはずです。
普通のマスクでも横の隙間からの飛沫の漏れはありますが、隙間の大きさが全く違うので、漏れ量は断然多いと思われます。
至近距離や動きながらの会話、風がある時などは、十分注意したほうが良さそうな気がします。

こんな報告があります。

ニューズウィーク日本版(2020/5/29)
おしゃべりで飛んだ飛沫は空中に8~14分漂う

ウイルスに感染している人が大声で話しをすると、ウイルス粒子が含まれる飛沫は1分あたり1000粒以上に達し、その飛沫は8~14分の間、空中に漂うそうです。
感染者によっては、1分あたり10万粒以上の飛沫を出す可能性もあるそうです。

マウスシールドをしていても、横から漏れた飛沫は、数分間空中に漂うと考えたほうがいいのではないでしょうか。

そもそも、新型コロナウイルスは、空気感染すると思った方がいいかもしれません。

AFP BB NEWS (2020/7/7)
コロナ空気感染の可能性、世界の科学者239人が警鐘

世界の科学者239人が6日、新型コロナウイルスに関する共同意見書を発表し、世界保健機関(WHO)などの当局に対し、同ウイルスが2メートルをはるかに超える距離で空気感染する可能性があることを認識し、それに応じて感染防止策を見直すよう訴えた。

科学者らは、ウイルスが空気中で数十メートル移動できることが「合理的疑いの余地なく」示されており、これが新型コロナウイルスについても当てはまることが複数の感染事例の分析で示されたとしている。

また、「手洗いや対人距離の確保は適切だが、私たちの見解では、感染者が空中に放出するウイルスを含む微小飛沫(ひまつ)からの保護には不十分だ」と言明。対策として、屋内では換気を良くすること、高効率エアフィルターと紫外線ランプを導入すること、建物内や公共交通機関での混雑を避けることを推奨している。

米疾病対策センター(CDC)の専門誌「新興感染症(Emerging Infectious Diseases)」に掲載された論文によると、1月に客の集団感染が起きた中国のレストランでは、新型ウイルスが空調によって複数のテーブルに運ばれたとみられている。
 

感染対策で部屋の換気をすることが推奨されていますが、飛沫が数分間、数十メートル移動することを考えると、空気の流れを考えて換気をしないと、かえって感染を広げることもありそうです。

現在、感染対策のガイドラインがいろいろ作られているようですが、飛沫の拡散についてどこまで考慮されているのでしょう?

「感染対策をしています」と言っても、それが本当に新型コロナウイルスに対して実効性がなければ、単なる「やってる感」になってしまうような気がします。