福島原発処理水、放水口のモニタリングも必要ではないか?

東京電力のモニタリングは不十分ではないでしょうか。

福テレ(2023/8/26)
処理水放出 海水のトリチウム濃度は"2日続けて異常なし"


 
東京電力は、福島第一原発の処理水が計画通りに薄められてから放出されているかを確認するために、原発から3km以内の10カ所で海水を汲みトリチウム濃度を分析している。
25日に採取した海水のトリチウム濃度は最大でも1リットルあたり7.6クレル未満で、2日連続で放出停止を判断する基準の700ベクレルを下回った。

 
福島第一原発の多核種除去設備(ALPS)で処理した水は、以下のような設備で海中に放水されるそうです。


東京電力 廃炉プロジェクト


福島第一原子力発電所の廃炉の現状と取組みをお伝えします


東京電力福島第一原子力発電所 ALPS 処理水希釈放出設備及び関連施設の新設に関する検討の状況

気になったのは、海底の放水口です。
箱のような形状になっていますが、この箱(ケーソン)の中や上蓋付近の海底の放射性物質の濃度が気になります。

東京電力の「海域モニタリング計画」で測定する場所は、以下のようになっています。




福島第一原子力発電所 海域モニタリング計画(2023年8月改定)

放水口に一番近い測定ポイントはT-0-1Aで、水深11mの海水となっていますが、海底土も測定が必要ではないでしょうか。

ALPSの処理水にはセシウム137などが「無視できると言われているレベル」で残留しています。


多核種除去設備出口の放射能濃度(2023年3月31日現在)

セシウムの比重は約1.9なので、水より重いです。
したがって、海水中のセシウムは徐々に海底に沈んでいくと思われます。

(参考)環境省
海洋中の放射性セシウムの分布

放射性セシウムの一部は海底に沈降したため、海底付近にいる魚類(底魚)への移行が懸念されましたが、調査研究の結果、ヒラメ・マダラ等の底魚の放射性セシウムの濃度は福島沖を含めて低下しています。この理由としては、放射性セシウムが底泥中の粘土に強く吸着されること及び、海底土から底生生物へのセシウム移行率は小さく、粘土に吸着されたセシウムが海産生物の体内に取り込まれにくいことが挙げられます(出典:水産庁、水産物の放射性物質の検査に係る報告書、平成27年)。

放水1回分の濃度が十分低くても、回数が増えれば蓄積していく懸念があります。
放水口付近の海底土の放射性物質の濃度が、常に無視できるレベルであることの確認が必要ではないでしょうか。

また、放水口の箱(ケーソン)の中も、セシウムなどの蓄積が気になります。
魚やプランクトンが自由に出入りする可能性もあるでしょう。
モニタリングは必須だと思います。
場合によっては、清掃(除染)も必要ではないでしょうか。

海底土などの測定の頻度は、ある程度状況が分かるまでは、月1回程度では少なすぎると思います。
全ての測定は、毎日(少なくとも放水する毎に)が基本ではないでしょうか。
そのためには、水中ドローンを使うなど、作業の効率化も必要だと思います。

 
今日のNHKの番組での西村環境大臣の発言です。


NHK 日曜討論(2023/8/27)

「とにかく、何も隠さず、透明に公表してもらう。ということを、私の方からしっかり指導したいと思います」

何も隠さず、透明に公表されることを期待します。