新型コロナ水際対策、ワクチンの有効期限の議論がないのはおかしい

これもワクチンインセンティブの一環ということでしょうか。

読売新聞(2021/11/5)
入国時の待機期間、条件付きで3日に短縮…外国人の新規入国も一部解禁

政府は5日、新型コロナウイルスの水際対策として原則禁止していた外国人の新規入国を解禁すると発表した。対象はビジネスや就労目的での3か月以内の短期滞在者や、留学生、技能実習生などの長期滞在者で、国・地域の制限は設けない。

今後は、日本人帰国者や外国人再入国者、ビジネスなどでの外国人短期滞在者に対し、〈1〉コロナワクチン接種〈2〉活動計画書の提出と所管省庁の承認〈3〉ウイルス検査での陰性――などを条件に、待機を原則、3日間に短縮する。
これらの措置は8日から開始する。

現在は入国後10~14日間の自宅待機が原則ですが、ワクチンを接種した人はこれを3日に短縮するそうです。


厚生労働省 ワクチン接種証明書の「写し」の提出について

11月8日から実施するということなので、政府は特に議論することもなく、やってしまうのでしょう。

厚労省が指定しているワクチン接種の条件は、こうなっています。


厚生労働省 ワクチン接種証明書の「写し」の提出について

ワクチン接種の有効期限がないのはなぜでしょう?
2回接種してから14日以上経過していれば、無期限で有効ということになっています。

ワクチン効果が時間経過と共に低下することは、様々な所から報告されています。

(参考)新型コロナ、ワクチン効果の低下が明確になってきた

こんなニュースもありました。

日本経済新聞(2021/10/15)
相馬市、12月にも3回目接種 抗体低下「予想より早い」

福島県相馬市は新型コロナウイルスワクチンの市民向け接種を12月にも始めると発表した。ワクチンを2回接種した市民の血液検査で、感染を防ぐ抗体機能の低下が「予想以上に早い」(立谷秀清市長)ことがわかったため。

検査は福島県立医科大学(福島市)などと共同で実施。9月14~25日、12~89歳の市民500人から採血し、ウイルスへの防御力を示す「中和活性」などを調べた。40歳未満(191人)の場合、中和活性の中央値は2回目接種後30日未満で2024、30日~90日未満で753、90日以上で106と、時間経過とともに低下した。


相馬市 抗体価検査

 
本来、感染対策のためにワクチン接種を条件にするのであれば、イスラエルのような条件が出てくるはずです。

イスラエル保健省 Green Pass Restrictions

(2021/10/28更新)
予防接種を受けた人:
・2回又は3回目の接種日から6カ月間
PCR陽性判定後に回復証明書を受けた人:
・1回又は2回回復してワクチン未接種の人は回復後6カ月間
・回復してワクチン1回接種した人は2022/3/31まで
・12歳3ヶ月以下の子供は2022/3/31まで等
血清学的検査が陽性の人:
・検査前にワクチン未接種で検査後に1回以上接種した人は2022/12/31まで
・12歳3ヶ月以下の子供は2022/12/31まで等

ここまで細かく規定する必要性があるかどうかは議論の余地がありそうですが、感染対策が目的なら、ワクチンでも自然感染でも、新型コロナに対する有効な抗体がどれだけあるかが重要なはずです。

そのような科学的な議論が一切なく、「とにかくワクチンさえ打てばOK」というのは、何か別の目的があるとしか思えません。

国内の経済界からの圧力もあったようですが、

朝日新聞(2021/11/5)
ビジネス・技能実習生らの新規入国再開へ 首相周辺「業界から声が」

政権としては、緩和による往来再開を経済活性化につなげたい考えだ。出入国在留管理庁によると、同庁から留学や技能実習といった在留資格の事前認定を受けながら、来日していない外国人は約37万人。岸田文雄首相周辺は技能実習生らの入国緩和について「(業界からの)強い声があったから」と明かす。

欧米からの要求もあったのでしょう。

日本経済新聞(2021/10/8)
入国制限の緩和とは 米欧、接種証明で隔離不要

必要な回数のワクチン接種を完了した人に国などが発給するワクチン接種証明書を提示することを条件とする国が多い。入国を原則禁止していた国や地域からの受け入れを再開したり、入国後の隔離措置を免除したりする動きが広がる。


 

感染対策という大義名分のもとに世界規模でワクチン接種を進めて、科学的な根拠が不十分なまま、接種した人にインセンティブを与える今の状況は、何か変な気がします。